<シーズン前の施術です!!>
このたびマスコミを通じて重大な誤解を招く情報が流布されております。ご注意ください。
アレルギー性鼻炎などの治療に、症状を起こす鼻粘膜を「焼灼」して、その局所症状を抑えるという方法があります。これを「鼻粘膜焼灼術」といいます。
焼灼方法として、薬品による「化学焼灼」、電極を当てる「電気焼灼」、近年現れた「高周波」や「レーザー」での焼灼などがあります。
アレルギー反応を起こした鼻粘膜は、「1、くしゃみ(=過剰反射)」・「2、鼻みず(=分泌過剰)」・「3、鼻づまり(=粘膜の浮腫)」という症状を引き起こします。
これは、「異物を気道に入れない、排除する」という鼻粘膜本来の生理現象が過剰に現れてしまう状態(=アレルギー反応)という見方ができます。
「鼻粘膜焼灼術」とは、ある種の「ヤケド」を粘膜に起こし、粘膜の過剰反応を抑制しようという治療です。
表現が適当ではないかも知れませんが、過剰反応している粘膜を、「鈍らせる」「おとなしくさせる」治療と言えます。
当院では2000年より「アルゴンプラズマ凝固療法 Argon Plasma Coagulation -「APC療法」を採用しております。
APCは、2000年秋に耳鼻科的治療に対して一般実用化され、神奈川県内の診療所としてはもっとも早くから稼動しております。
2015年、レーザー焼灼を導入しました。
よく、「鼻みずは治まっても、鼻づまりが続く」という経験のおありの方が少なくないでしょう。内服薬では、鼻みず・くしゃみに効いても、鼻づまりには効きにくいということが多いのです。それぞれ、発症機転が違うためです。
粘膜焼灼は、主要3症状のうち、特に「鼻づまり」に対する効果が高く、内服薬と対照的・相補的な治療となります。
・このような特徴がある治療のため、よい適応となるケースは、
などです。
麻酔液を浸したガーゼを鼻に詰め、粘膜に浸透するのを待ちます。(治療時間の大半が麻酔待ちの時間)十分に麻酔を効かせてから行うので、痛みはほとんどありません。
ただし、電流を用いるため、焼灼時に鼻の周囲や歯などに「ジンジン」「ビリビリ」と感じますが、痛むほどの苦痛ではありません。
治療時間は、麻酔の浸透時間を長めに要すため、トータルで40-50分、ときに1時間以上要すこともあります。
予め一度受診して所見確認の上、原則として、日時を改めて予定してから行います。
*事前には一定期間、投薬も要します。そのためにも一旦受診が必要です。
*時間を要す「予定治療」のため、土曜や夕方からの治療は行っておりません。平日の午前・午後の診療時間内、前半の時間帯で予定を組みます。
術後は一定期間、焼灼の影響で鼻みず(特に数日間)、鼻づまり(2週間くらい)が強く現れます。
ときに感染を生じたりもする恐れもあるので、しっかりと通院にて経過観察が必要です。約1ヶ月間、焼灼部位に「痂皮」が付着するので、適当な処置を要します。
効果がでてくる目安は、「くしゃみ・むずむず感」の消失が1週間くらいから、「鼻づまり」の軽快は2、3週間後くらいからです。鼻みずの減少の程度には比較的個人差が出ます。
ですから焼灼後も、「内服も併用していた方が、尚更に楽である」、という人もいます。
この場合は「薬の効き方が良くなる」とか、薬の量や種類、服用期間が減らせるようになる、といった「効き目の実感」が得られます。
実際、スギ飛散のピーク時期でもまったく症状を起こさなくなる人もいれば、さすがにある程度(かなり抑制されますが)は症状のでる人までまちまちです。
ただし、「少しの効果も出ない」、というケースは例外的です。
しばしば「電話予約」などのお問い合せがありますが、全く未受診の方の場合は、実際に所見を確認してからでないと、原則行うわけには参りません。
それは、患者さん自身が独断で「花粉症」「鼻炎(単に「鼻炎」という病名はありません。これではある種の症状を表現する言葉にすぎません。)」と思っている場合、中には違う原因、違う病気(→たとえばこちら)で鼻みず、鼻づまりを呈していることがあるからです。
季節性アレルギー(スギ花粉症など)の場合は、季節前の治療が理想的です。焼灼後、完全に粘膜が落ち着くには1ヶ月くらいかかり、また効果は半年から1年は続くので、秋ごろ(9月~11月)から灼いておくと、シーズンが楽に過ごせるでしょう。
焼灼後、十分に粘膜が落ち着いた状態でシーズンに入れると、その効果が最大限に実感できるものと考えてください。
通年性アレルギーの場合は、いつ行っても良いでしょう。
ただし、下記の通り、スギ花粉にもアレルギーがあって、例年、「シーズン」には症状がさらに激しくなる場合を除きます。
ただし、急性副鼻腔炎など、感染を伴っている場合は、これを制御してからとなります。
症状が著しく強くなっている「極期」(2~3月)では、焼灼後の急性症状が非常に強くなり、効果も表れにくいため原則行いません。
また、そういう状態では、局所麻酔が効きにくくなる(=痛い)ケースも、経験上散見しています。
基本的には誰にでも、ある程度以上の効果は期待できます。
中でも特に有用といえるのは、
などです。
小学生以上なら、なんとか可能です。高学年なら通常は可能でしょう。
それほど痛みのある治療ではないので、術中、ある程度の「聞き分け」、常識的な「我慢」ができる子なら一考してもよいでしょう。最年少では実際に9歳で受けられた子もいます。
要は、「本人次第」です。決して「子供だからできない」わけではありません。
焼灼して、その場から直ちに症状が楽になるわけではありません!! 粘膜が落ち着いてくる数週間後から効果が現れます。
だから「症状増悪期の前」=季節前の焼灼が効果的なのです。
スギに刺激される前に粘膜が安定するからです。
効果の持続
粘膜のアレルギー反応は徐々に再生するので、早い人で半年から、長くて2年で症状が再燃し始めます。
*「未来永劫、完全に「治す」、症状を完全に消す」、という風に極端に理想を高く考えてしまうと人にとっては「裏切られて」しまうでしょう。
ですから、適当な投薬で十分効果の得られる人には、必ずしも「お勧め」ではありません。
あくまでも、鼻づまりを中心に、症状を「減弱」「抑制」する治療ですから、「どうにもつまって苦しくてしょうがない」、「くしゃみが四六時中つづいてしかたがない」という、中等~重症の方には、それが軽くなるという意味で意義が大きい治療です。
施術は、平日の日中のみです。
鼻づまりの原因は様々です。アレルギー性鼻炎があっても、実はそれ以上になんらかの鼻づまりを生じている病気が潜んでいることも少なくありません。
ですから、どうしても受診の上、鼻内を確認しなければなりません。
施術日は、その診察の際に、日時を決めていくことになります。
時間を要す治療なので、「夕方遅めに」などという希望には応じられません。
初めて来院して、「その場ですぐ」に、というわけにも参りません。
右図、赤枠内の内視鏡所見
(鼻腔内シェーマ)
アルゴンプラズマを照射しているところ。
放電エネルギーで粘膜を焼灼
さらに照射範囲を広げたところ。
焼灼された粘膜は、凝固して白変する。
術後1ヶ月。
過剰に腫脹していた粘膜が退縮、表面は平滑に再生している。
←「下甲介」(画面左側の突起部)と「鼻中隔」(画面右部分)の間の空間(=総鼻道)が広がって、通気が改善されている。
(画面中央、奥に見えるようになったのは中甲介)
アルゴンプラズマ発生器本体
ハンドピース
ハンドピース先端
原則として、治療経過(=通院)の中で、是非を検討すべき治療です。
術前に数日間、内服薬等にて、アレルギー症状を落ち着かせてから施術します。
希望される方は、まずは一度受診をして下さい。
状態確認の上で予定を組みます。
必要な薬剤もこのとき処方します。
*当院にて実際に各種投薬などの治療を行った上で、今現在やはり重症で投薬効果が不十分と言わざるを得ないケース
もっとも焼灼術に適当であるといえます。焼灼の効果が大いに期待されます。
原則として手術可能日時は、平日です。
午前:8:30~10:00、午後:14:30~16:00の時間帯に行います。
夕方4時半以降や土曜は混雑しやすく、他の受診の方々の待ち時間にも大きく影響してしまうため、行っておりません。
年末年始や、2~4月の期間は非常に混雑するため、原則として、予定を組むことができません。
症状の強いこの時期では、元より焼灼に好ましくもありません。
風邪など、感染症状・体調不良を来している状態では行いません。
すでに各種メディアから、いろいろな情報が出回っていますが、診療現場に携わっていると、そのわりに必ずしも十分な理解を得られていないと思われる事象に出遭うことががめずらしくありません。
限られた診療時間では、一般論についてまでは、説明にも限界があります。
みなさんの知識の整理の一助に、ここに思いつくままに列挙・追記していきたいと思います。
初めて発症した時、ほとんどの人が罹患したことを否定したがります。自覚するのが遅くなる分、予防行動が足りなくて、結局症状がつらくなってしまった、という方をよく目にします。
未発症の人でも、この時期マスクをしていた方が発病予防になるといわれているくらいです。
「微妙な症状」が出てきたら、ある意味「積極的に」発症した状態という認識を持って、マスク着用など予防に努めたほうが賢明です。
特に、我慢ばかりし続けていると、「鼻づまりがどうにもならなく」なります。ひどくしすぎると、薬を飲み始めてもすぐには楽になりません。
一般に「抗アレルギー薬」で症状を緩和することから始まります。
この薬物群は、「飲み続けて約2週間程度」経過したころに効果は最大となります。
薬剤によっては、飲んで数時間ほどから効果は出始めますが、その時期で「効果判定」とするわけにはいきません。
上記理由から、本格飛散時期の「2週間前」に服用を始めるとよいといわれるようになりました。
3月上旬に爆発的な飛散をしました(2005年)が、事前から服用していた患者さんでは、症状の「極端な増悪」を防げたケースが、少なくありませんでした。
飛散開始時期を前もって厳密に予測することは困難です。そこで、各自において、例年、症状が急につらくなるおおよその日時を把握しておくことです。
その約2週間前から服用を開始すると、薬の効果としては最大限となります。
*その最大効果が、「その人にとって十分になる」とは限りません。
よりよい効果を得るためには、定期的な診察で効果判定を繰り返し、必要があれば適宜薬剤の変更・追加などを検討することになります。
自己予測が困難な方は、「ちょっとむずむずしてきたかな」「ときどき変かな」、という時期を服用開始時期と考えて差し支えないでしょう。(その時期、実際粘膜状態を診ると結構アレルギー性変化が進んでいるものです。)
一旦効果が最大限に表れたとしても、服用の途絶や大量の花粉に被曝すれば、それなりに症状は表れます。
だから、「楽になっても」マスクをした方がよいのです。
と、極端なことを求めようとする方がいます。
「傘さえ差していれば、雨に濡れることがない」と言えますか?
かといって、「結局濡れるのなら傘を差すのは無駄」、といって傘を差さないものでしょうか?
症状を「少しでも軽くしよう」、「我慢できる程度」にしよう、「気にならない程度」にしようというのが、薬の作用目的です。
「発症前の時期に飲んでおくだけでよい」と都合よく誤解している方もあるようです。
「せっかく差しておいた傘を、雨が降っている最中に畳んでも濡れない」・・・?
雨に打たれてから傘を差しても、しばらく服は濡れていますよね。
傘を差してもすぐには服は乾きませんね。
大概の人がこのパターンです。
効果が現れるのに余計日にちがかかるのをご理解ください。
花粉症の発症に伴い、「のどちんこ」の辺りから奥に「かゆみ・違和感」を感じることがあります。「痛み」に近い感覚を訴えることも珍しくありません。
さらに咳症状まで伴うこともあります。(乾いた咳が多い)
ある程度重症化すると、喉頭粘膜がアレルギー性に色調変化しているのが、内視鏡で確認できることがあります。
どんなマスクにせよ、ずっと着け続けられれば効用はあるはずです。
立体型の方が、隙間が少なく、鼻や口への圧迫感が軽いので、装着し続けやすいでしょう。
見た目に抵抗がある方でも、一度つけてみれば、その「装着感」はわかると思います。
ひとたび花粉を吸って、症状が出てしまった分については、マスクの効用はありません。鼻が詰まってからマスクをしても遅いです。
一般に、ガーゼタイプより、不織布タイプの方が目が細かく、花粉が通過しにくいといわれてます。これらは通常使い捨て型です。
ガーゼタイプを洗って再使用し続けるのも結構ですが、漸次劣化するので、いずれにしても使い捨てるしかありません。
どうせなら単価の安い使い捨てで、より楽に装着できれば、まだよいのではないでしょうか
<実際の声から>
極端に飛散が多い日に使用したマスクを、翌日使い回してはめた途端に鼻が詰まってきた、という笑えない話があります。